春:春野菜

せり、かたくり、ここみ、わらび、そらまめ。

春野菜は名前を読むだけで、気持ちがうきうきしてきます。冬の寒さを耐え、ようやく暖かくなったお日様に向かって新芽を伸ばす姿が思い浮かぶからでしょうか。野菜の形や色にもほのぼのとした個性的な美しさがあります。
せり科の植物はすっと長い茎に小さめの若々しいみどりの葉っぱ、なんと言ってもさわやかな香り。さんさんと太陽があたるあぜ道でよく見かけます。細く長いネギ類。ちょこんとつく花は帽子のようでとてもかわいい。赤が美しいラディッシュ。緑の葉っぱの中からちらちらとのぞく黄色の花があたたかくほほえましい葉の花。ぷくぷくしたさやがどこかユーモラスな豆類。そしてわらび。萌え出でた葉先がくるりんと巻いているところは、なんともいえずいじらしい。

こんな野菜たちは若々しい香りと春のほろ苦さを持っています。この味が生かせるように、強すぎないように、煮物、おひたし、鍋、天ぷら。さまざまな方法で調理されます。

春野菜の御献立はさわやかでほろ苦い。そして子どものころ眺めた、若葉が芽吹く陽だまりの情景を思い出させてくれます。そんな「春の味」をお楽しみください。